【BOOKs】米中もし戦わば(ピーター・ナヴァロ)

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米中戦争

 

本書はトランプ政権入りしたピーター・ナヴァロが米中戦争は起きるのか、という視点で書かれた書籍である。

中国とアメリカの地理的条件や戦力差などから客観的に状況を見据えた書籍となっている。

 

確率は70%

カバー裏表紙には以下のことが書かれている。

  • 経済成長のために必要な原油の中東からの輸送ルートは、太平洋地域の制海権をもつアメリカによって抑えられている。
  • 空母と同盟国の基地を主体にした米軍に対抗するため、安価な移動式のミサイルで叩くという「非対称兵器」の開発を中国は進めてきた。
  • 南シナ海や尖閣諸島の海底に巨大な油田が発見された。
  • 南シナ海や尖閣諸島を囲む第一列島線。その内側の制海権を中国は握りつつある。
  • 歴史上、既存の大国と台頭する新興国が対峙したとき、戦争に至る確率は70%を超える。

この内容を読んだだけでも中国が着実に脅威になりつつあることがわかる。最後の一文には大国同士が戦争になる確率は70%以上だとする主張も大げさとは思えない。

 

本書は全6部から構成されており、各部ごとにいくつかの章立てとなっている。章は全部で45章である。

章の始めにクイズ形式での問いがあり、本文の中で答えがわかるようになっている。

 

内容全体を通して、中国とアメリカの軍事力の差、地理的な状況を説明して、それぞれの国の有利、不利な条件をあげ、比較している。

中国に近い日本が詳細に語られることは少なく、あくまでも中国対アメリカの構図で語られる。

中国が太平洋に制海権を伸ばすことがないようにアメリカが考える沖縄や台湾を防御線とする「第一列島線」。硫黄島やグアムを防御線とする「第二列島線」などはまさにアメリカからの視点である。個人的な意見を言わせてもらえれば、日本はアメリカ防御の「線」と感じてしまう(未だ敗戦国という印象)。

兵器についても中国の模倣能力がアメリカの技術を上回るとされている。高性能のオリジナル兵器をアメリカが製造しても中国はそれを模倣し低コストで生産。さらにプラスαの性能を加えることで一層の脅威となる。

アメリカの空母打撃艦隊も最強とは言えない。中国は、アメリカが空母製造にかける莫大な費用よりも安価な対艦ミサイルを何百発も打ち込めば、それだけで空母を撃沈できるとして、これはアメリカにとって脅威である。

 

両国を比較することで現実を直視し、どのようにすれば衝突を回避できるか。日本ではほとんど報道されない内容なだけに、一読の価値あり。

タイトルから、中国とアメリカが実際に戦争した場合の戦略シミュレーション的な内容と勘違いする人も多いと思うが、そういった類いのものではない。

 

偏り過ぎか

ホワイトハウス入りした筆者だけに、トランプ大統領が行おうとしている防衛政策と同じような内容となっていることに気づかされる。いや、トランプ大統領がナヴァロの考えや著書を参考にしたと言ったほうが正確か。

中国の軍事力は脅威となっているが、少し偏り過ぎている感じがする。

このまま中国が軍事力を増大して研究開発を行えば、それは確かに脅威ではあるが、同時にアメリカの軍事力や研究開発も進んでいくはずである。中国ばかりが時間が進んで、アメリカの時間は止まったままという印象を受けてしまう。両国同じように技術や研究開発が進んでいるのである。

また、各国の軍事力がすべてオープンになっているわけがなく、そんなことをすれば手の内を見せているようなものである。われわれが知ることがない兵力をアメリカが保持していてもなんら不思議ではない。軍事力世界一はアメリカである。

また中国も同じで、オープンにしていないものがあるはずである。

要するにこればっかりはフタを開けてみないとわからないことである。

 

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