商務長官候補ウィルバー・ロス
(アイキャッチ画像/出典:https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-10-14/OF0OK46S972801)
トランプ次期米大統領の人事が次々と決まっています。
商務長官には親日家として知られているウィルバー・ロスの起用が伝わりました。
日本企業に多く投資しているタイヨウ・ファンドの運用にもウィルバー・ロスは携わっています。
親日家
ドナルド・トランプ次期米大統領は次期政権の商務長官に投資家のウィルバー・ロスの起用を検討していると伝わりました。まだトランプ政権自体が発足していないので予定ですが、ウィルバー・ロスに決まりそうです。
日本ではどれほど認知されているかはわかりませんが、親日家と言われています。
フルネームはウィルバー・ルイス・ロス・ジュニアといい、アメリカ最大規模の日米交流団体『ジャパン・ソサエティー』で2005年から理事となり、2010年から現在まで会長を務めています。
投資会社ロスチャイルドで勤めたあと、2000年に独立。『WLロス&カンパニー』を設立します。
日本では1997年にタイヨウ・ファンドを立ち上げて投資活動を開始しています。
1999年には経営破綻した大阪の地銀、幸福銀行を買収。関西さわやか銀行として再建に成功しました。
また、東日本大震災後では、自身が設置した「東日本大震災被災地支援基金」を通じて多くの寄付金を集めました。
旭日重光章叙勲
2014年には日本国政府から「日米間の文化交流及び友好親善の促進に寄与」したとして 『旭日重光章』が贈られています。
トランプとロス
ドナルド・トランプは1990年、ニュージャージー州アトランティックシティーにカジノリゾート『トランプ・タージマハル』をオープンしました。しかし経営難で破産に陥ります。このとき債権者の代表を務めていたのがロスでした。
出典:http://www.jiji.com/jc/d4?p=ttw725-jpp07741815&d=d4_ftdd
債権者たちはデフォルトの可能性があることに不満を持ち、カジノを管理下に置くかを検討しました。しかしロスはトランプの不動産には価値があると主張。トランプの経営権を維持するための交渉を行いました。
これをきっかけにロスはトランプと知り合い、2016年の選挙選ではトランプの協力者となりました。
日本への投資
ウィルバー・ロスが設立した会社WLロス&カンパニー。投資先としては埼玉県の大泉製作所が知られています。
大泉製作所の事業はサーミスタ利用の温度センサーが主力です。自動車、空調向けが柱となっていて、自動車ではデンソー向けが中心になっています。
WLロス&カンパニーが出資・運用しているタイヨウ・ファンドの日本企業への投資先は以下の通りです。
出典:http://www.kabupro.jp/edx/E09183.htm
ウィルバー・ロスが商務長官になってもタイヨウ・ファンドが投資している日本企業への直接の影響はさほどないかもしれませんが、親日家であることには変わりないので、そのあたりは覚えていて損はないと思います。
企業再生で力を発揮
ウィルバー・ロスは企業再生で実績があります。
1970年代に勤めていた投資会社ロスチャイルドではテキサコやコンチネンタル航空などの経営再建を手掛けた実績があります。
また鉄鋼業界の再編では最も成果をあげたといわれています。
2002年に破綻した鉄鋼メーカーLTVを買収。その後ベスレヘム・スチールなど複数のメーカーを買収して、インターナショナル・スチール・グループ(ISG)を設立しました。
2003年にISGを上場させ、のちにインドのラクシュミ・ミタルに45億ドルで売却しました。
このような経緯から考えても、トランプ政権でのアメリカ鉄鋼メーカーは強気でいいかもしれません。トランプ自身がインフラに力を入れると言っていることからもそんな匂いがプンプンします。
(アイキャッチ画像/出典:https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-10-14/OF0OK46S972801)