サウジとイランが対立
2016年9月にOPECの会合がアルジェリアで開かれました。
会合では2008年以来となる原油の生産調整で合意にいたりましたが、先日行われたOPEC専門家会合でサウジアラビアとイランの対立が再熱しました。
合意は困難か
2016年9月にアルジェリアで開かれた石油輸出国機構(OPEC)の会合では2008年以来となる原油生産量の減産を行うことで合意となりました。
しかし、サウジアラビアとイランの対立が再熱しました。
ロイターが伝えたところによると、2016年10月末に開かれたOPECの専門家会合で、サウジアラビアとイランの古くからの対立が再燃したことが分かったとして、イランが産油量を制限しなければ、サウジアラビアは大規模な増産に踏み切って原油価格を下げると脅しをかけたということです。
OPEC関係者によれば「サウジは日量1100万バレル、場合によっては1200万バレルに増産して原油価格を下げ、会合からも退席すると脅しをかけた」といいます。
一方でイランは、EUによる経済制裁が解除されたことで、原油生産量の回復を目指しており、産油量の制限を免除されるべきと主張したということです。
出典:http://jp.reuters.com/article/opec-oil-idJPKBN12Z2EC
代理戦争
サウジアラビアとイランの対立が再熱をなっていますが、これはサウジアラビアとイランが、シリアやイエメンで代理戦争をしていることが原因となっています。
イエメンではスンニ派の暫定政権とシーア派の反政府勢力が内戦状態となっています。そのスンニ派の暫定政権から支援を要請されたのがサウジアラビア。シーア派の反政府勢力にはイランが軍事支援をしています。イエメンの土地で両国がぶつかり合っているのです。これが代理戦争の構図ということです。
合意は破談に?
ここからは予想ですが、11月30日に行われるOPEC総会では協調減産は破談に終わると思います。
それによって市場の失望で原油価格は下落します。脅しの通りサウジアラビアが増産するかどうかはわかりませんが、原油価格の下落はサウジアラビアにとっても痛手です。さらにサウジアラビアは国営の石油企業サウジアラムコのIPOを2018年に予定しており、これを失敗させるわけにはいきません。なので原油価格の安定はサウジにとっては大事なことです。
そうであるなら協調減産ができなければ、サウジアラビアが単独でも減産する可能性はあります。それだけでも原油価格は持ち直すでしょうし、サウジアラビアにとっても悪くないことだと考えます。
(アイキャッチ画像/著作者:NASA Earth Observatory)