再び金融ショックは来るのか
今回はこちらの書籍をご紹介します。
予想的中がハンパない!?
アナリストの予想ほど当たらないものはないと言われていますが、この著者はバンバン当てていると自信を持って語っています。著者が的中させた経済金融予想は以下の通りです。
- 2000年、ITバブルの崩壊
- 2001年からの金価格上昇と2011年の天上相場
- 2008年、リーマン・ショック
- アベノミクス相場
- ドル円『40年サイクル』の2011年円高ピーク
- 2013年の大暴落
- 原油暴落
- 2015年秋の大暴落と2016年の世界同時株安
なんともすごいではないですか。
この予想を知っていれば大儲けできたと思いますが、こういう的中予想は過ぎてから知ることが多いので不思議ですね。だれか意図的に隠しているのでしょうか。
ここまで予想を的中させているなら読まなければなりません。
筆者はジャーデン・フレミング証券、J.P.モルガン証券などで23年にわたりトップクラスのアナリストとして活躍。2007年に独立しました。
著者が開発した経済予測モデル『T-Model』なるものが数多くの予測を的中させたようです。
『T-Model』とは
著者の名前の頭文字の「T」であることと、「TIME(タイム&タイミング)」「THEORY(理論、推測)」「TRUTH(真理)」の三つの概念が含まれているようです。
ここでは『T-Model』を紹介するコーナーではないので簡単に言えば、「とにかくさまざまなデータや駆使して市場を分析。二次元ではなく、さらに詳しく三次元で分析する」と考えてもらえればいいのではないでしょうか。
本書概要
本書は8章に分けられています。
現在の世界的な金融緩和状態と、日本のマイナス金利の説明。欧米にくすぶる経済危機。原油価格の予想や中国経済の状態。さらに日銀やゆうちょ銀行による日本の官製相場なども解説しています。
筆者の結論は、
「第二のリーマン・ショックは2016年秋に始まる」
ということです。
『T-Model』の分析から、予想ではリオデジャネイロオリンピック後から危ないと警告しており、その分析は本書の全8章によるものです。
実際に危機が起きるかはわかりません。筆者ではなくても、2016年は市場が暴落すると予想している人もいます。
すでに2月の暴落を経験していますが、それよりも大きな暴落ともいわれています。
原油予想に注目

わたしはこの大暴落予想よりも、原油価格の予想を興味深く読みました。
2016年2月。原油価格は1バレル30ドル台を割る価格まで下落しました。
シェール企業の採掘コストは技術が進んだため徐々に安くはなっていますが、原油価格の下落に耐えることができなくなり、バタバタとは破産する企業がありました。
その後、原油価格は持ち直し、6月には1バレル50ドルまで上昇しました。現在は40ドル前後で推移しています。
原油価格は時間をかけて上昇していくと思っています。それによりエクソンやシェブロンなどの石油株の株価も緩やかに上昇していくと考えています。
なぜならサウジアラビアの国営石油会社であるサウジ・アラムコが2017にもIPOを行うといわれています。
サウジ・アラムコの時価総額はかるくAppleの4倍といわれています。上場はそのわずか5%といわれていますが、それでも市場に与えるインパクトは大きなものです。
これを成功させるために幹事団が組まれるわけですが、そこで原油価格に弱気なんてことは口が裂けても言えません。
そう考えれば、原油価格はどうなるか。
筆者も原油価格は今後上昇を続けると予想しますが、その分析はさらに詳細です。
一旦回復した原油価格は秋ごろに再び下落して、底を試すだろうとしています。そのときは買い場だとしています。
現在は予想通り原油価格が下落を始めています。石油株銘柄の下げも目立ちます。
エクソン(XOM)とシェブロン(CVX)の一年間の株価です。原油価格の下落にともない株価も下落基調です。


石油銘柄の購入を検討している人なら、この予想が的中すればこれほどうれしい買い時はありません。
2016年から始まる大暴落という予想に備えるつもりで本書を一読するのもいいかもしれません。