巨人が自動運転分野に参入
アメリカ半導体大手のインテルがイスラエルの運転支援ソフト会社モービルアイを153億ドル(日本円でおよそ1兆7600億円)で買収することで合意しました。
これによりインテルという半導体の巨人が自動運転分野に本格的に参入したことになります。
33%上乗せ
13日のロイターが伝えたところによると、インテルの買収価格はモービルアイの10日の終値におよそ33%のプレミアムをつけた、1株当たり現金63.54ドルで買い付けて傘下に収めるということです。
なおインテルにとってこの買収は、2015年に167億ドル(日本円でおよそ1兆9200億円)で買収したアルテラに次いで2番目の大型買収となります。
今回の買収は今後9カ月以内に完了の見通しで、インテルは非一般会計原則(GAAP)ベースの1株利益とフリーキャッシュフローが即時に押し上げられることを見込んでいます。
買収後はインテルの自動運転部門をモービルアイの事業と統合予定で、その部門はモービルアイのアムノン・シャシュア会長が率いるとしています。
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モービルアイ
モービルアイは1999年にイスラエルで創業した自動車の運転支援システムを提供する企業です。世界の運転支援・事故防止ソフトで市場シェアは70%を占めるといわれています。
単眼カメラによる運転支援システムを提供しており、ステレオカメラよりも安価に実装できコスト面からも優位性を持っています。このシステムはボルボ、BMW、GMなどの大手での採用実績があります。
2016年7月にはBMW、インテルと自動運転車開発で提携しており、2021年までに量産化、完全自動運転車を市場投入する計画です。
また以前は、電気自動車のテスラモーターズとも提携していましたが、自動運転事故により、2016年7月にこの提携は解消されました。
2035年には33兆円市場
ゴールドマン・サックスは自動運転技術について、2015年に30億ドル規模だった市場は2025年には960億ドル。2035年には2900億ドル(日本円でおよそ33兆3000億円)にまで成長すると予想しています。
この分野に半導体メーカーのインテルが参入しましたが、すでに半導体メーカーで参入している企業があります。グラフィックチップのエヌビディアや、470億ドルで車載半導体首位のNXPセミコンダクターズを買収した通信用半導体大手クアルコム。さらには自動車部品メーカーのデルファイ・オートモーティブなどが開発競争を行っています。
また、グーグルやフェイスブック、UberやアップルなどのIT企業までもがこの分野に参入しています。
そこにインテルが本格的に参入してきたことになりますので、自動運転市場が盛り上がらないわけがありません。
なお、モービルアイの自動運転システムのチップ製造は、今後インテルが製造することになります。
実績ある運転支援システムを保有するモービルアイと、半導体大手のインテルが繋がることで、さらなる技術開発の加速と、低コストでのチップ製造が可能となります。
(アイキャッチ画像/著作者:michal.kulesza)