3Gキャピタル。動く
ウォーレン・バフェットが率いる投資会社バークシャー・ハサウェイのポートフォリオで最大の割合を占める食品大手のクラフト・ハインツが日用品大手のユニリーバに買収提案しました。
ユニリーバに買収提案
2月17日、アメリカの食品会社大手のクラフト・ハインツが日用品大手のユニリーバに買収提案しました。
その総額は1430億ドルで、1株あたり50ドル。内訳は現金で1株30.23ドルのほか、合併後の企業株式0.222株を支払うという内容のようです。この提案額はユニリーバの前日の終値に18%上乗せした金額になります。
しかしユニリーバ側はこの提案を拒否。過小評価しているとともに、財務・戦略面で利点がないとしています。
一方クラフト・ハインツ側は「合意に向け取り組む」と表明。これはクラフト・ハインツ側が買収提案額を引き上げる可能性があると思われています。
2月17日の終値でクラフト・ハインツ、ユニリーバとも株価は大きく上昇しています。
クラフト・ハインツの1年チャートです。
ユニリーバの1年チャートです。
この件をうけて、アメリカ食品大手のモンデリーズ・インターナショナルの株価は下落しました。クラフト・ハインツの次の買収企業はモンデリーズがターゲットになると予想されていたからです。
モンデリーズの1年チャートです。
クラフト・ハインツはなにを目指す
クラフト・ハインツはバフェットの投資会社バークシャーとブラジルの3Gキャピタルという投資パートナーの提案でクラフトとハインツが合併して誕生しました。
トマトケチャップで有名な『ハインツ』、チーズの『クラフト』、さらにはクラッカーやハムやソーセージなどの製品があります。
一方ユニリーバはヘアケアの『ラックス』、『ダヴ』、洗剤の『ジフ』や『ドメスト』が有名ですが、食品では『クノール』、『リプトン』があります。2016年にはスタートアップ企業の『ダラー・シェイブ・クラブ』を10億ドルで買収しています。
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さて、今回のクラフト・ハインツのユニリーバへの買収提案。これは予想外でした。
3Gキャピタルが次なる獲物を狙っているのは知られていましたし、今回の買収案件も3Gが噛んでいると思われます。
[blogcard url=”http://www.mywave.jp/entry/2016/11/21/202649″]
クラフト・ハインツは食品大手なので買収するなら同業であると思っていました。大方の予想も買収ターゲットはモンデリーズかゼネラル・ミルズ、またはケロッグやキャンベル・スープあたりが有力と言われていました。
しかし3Gが狙ったのはユニリーバでした。
ユニリーバの食品といえば、クノールや紅茶のリプトン、あとはアイスクリームなどになります。ユニリーバは食品というよりは日用品が主力なので、今回の買収提案はどうもわかりません。
適切な例えではないかもしれませんが、クラフト・ハインツは数十年前のタバコ業界大手アルトリアのような企業を目指すのでしょうか。
アルトリアはアメリカ中心にタバコ製造を行う企業ですが、世界販売を担当するフィリップ・モリスをスピンオフしました。タバコだけではなくクラフトフーズも元々はアルトリア傘下でした。ほかにはインスタントコーヒーのマキシム、ナビスコも傘下でした。
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もしユニリーバの買収が成功した場合、食品・日用品のコングロマリットを目指すのか、それとも再編後に食品と日用品を分社化するなどの考えがあるのでしょうか。または今回の買収提案で株価が下がった(意図的に下げた?)モンデリーズやほかの食品企業にターゲットを変更するのか。
今回の買収提案がどのような結果になるのか注目です。