アラガンはキャッシュをどう使う
ジェネリックといわれる後発医薬品といえば、日本では沢井製薬や日医工などですが、世界ではイスラエルの大手製薬会社のテバ・ファーマシューティカル・インダストリーズ(TEVA)です。
ジェネリック部門をテバへ
2015年7月。テバはアイルランドの製薬会社アラガン(AGN)が保有するジェネリック部門を405億ドルで買収すると発表しました。
アラガンのジェネリック部門はアメリカでは第3位にありました。
その後、アラガンは2015年11月に米製薬大手のファイザーにおよそ1600億ドルで買収される予定でしたが、米財務省から節税目的のM&Aであるとファイザーが指摘を受け、2016年4月に買収は白紙となりました。
そのアラガンですが、ファイザーとの合併中止で株価は下がりましたが、研究が進んでいる新薬候補と、テバに売却したジェネリック部門の売却益で得た豊富なキャッシュの使い道が注目されています。
ちなみにアラガンを知らなくても、しわ取り注射の「ボトックス」を知っている人は多いと思います。その人気製薬をもつ製薬会社です。
キャッシュの行方
自社株買い
アラガンはテバ・ファーマシューティカル・インダストリーズへのジェネリック事業売却が16年6月までに完了します。その後、最大100億ドル(1兆円以上)の自社株買いを実施する計画が発表されています。
まずは4〜6カ月間で市場を通じて40億〜50億ドルの自社株買いを行い、市況の状況に応じて追加買い戻しを実施する予定となっています。
事業買収
可能性として事業買収もあります。
米バイオ医薬品大手のバイオジェンにメルクやアラガンが買収の関心があると一部報道が流れました。
ただ、翌日にはアラガンはバイオジェンの買収に関心はないと報道されたことや、バイオジェンが買収に対して消極的ということもあり、買収観測はウワサの段階でしかありません。
しかし、なにもなくこのようなウワサは立たないと思いますので、いずれにしても今後に注目です。
アクションは必要
1年後の利益見通しに基づく株価収益率、PERは15.8倍ほどです。これは同業のブリストル・マイヤーズ・スクイブやイーライ・リリーなどの大手より低い水準です。
アラガンが現在の価値を維持し、そして高めていくためには製品のラインナップを増やすことや、投資家を魅了するものが不可欠です。
第2四半期決算(4〜6月)
8月8日、第2四半期決算が発表されました。
売上高は市場予想を下回りました。アルツハイマー治療薬の「ナメンダIR」の特許権がなくなったことが原因です。これにより通年の売上高見通しも引き下げました。
純売上高は36億8000万ドル。前年同月比からは増えましたが、市場予想の40億8000万ドルを下回りました。
「ナメンダIR」の売上げが2億3300万ドルから410万ドルへと落ち込みました。
通年の純売上高見通しは146億5000万〜149億ドルで、前回予想の170億ドルから引き下げました。