ファイザーが買収へ動く

ファイザーが動きました。
アイルランドの製薬会社アラガンの買収を中止してからその動向が注目されていましたが、米バイオ医薬品会社メディべーションの買収が発表されました。
140億ドルで買収
8月22日、製薬会社のファイザーはアメリカのバイオ医薬品会社メディべーション(MDVN)をおよそ140億ドル(約1兆4000億円)で買収すると発表しました。
ファイザーはメディベーションの買収に当たり1株当たり81.50ドルの現金を支払います。
メディベーションに対しては2016年5月にフランスの製薬会社サノフィがおよそ93億ドル、1株当たり52.50ドルで買収提案がありましたが、額が低すぎると拒否されていました。
ファイザーはサノフィの提案額に55%のプレミアムを上乗せした水準での買収となります。
メディべーションの株価は2016年2月ごろにつけた30ドル台から上昇を続けており、最近まで70ドル手前で推移していましたが、買収の報道がありファイザーの買収額81ドルまで株価が上昇しました。

2016年8月23日のメディベーションの株価です。
メディべーション
メディベーションは、アメリカのカリフォルニア州サンフランシスコに本社があるバイオ医薬品企業です。
メディべーションの前立腺がん治療薬「XTANDI(イクスタンジ:一般名エンザルタミド)」の年間売上高は約20億ドルといわれています。予想では今後も成長を続け現在より2倍以上に拡大するといわれています。
なお日本ではアステラス製薬がエンザルタミドの販売権を保有しています。
ファイザーはメディベーションの買収によりエンザルタミドのほか、開発が進められている乳がん治療薬の権利も取得します。
今回の買収額は割高とも一部では言われていますが、メディベーションの買収に関してはファイザーのほかにも、アメリカのメルク、フランスのサノフィ、アメリカのバイオ製薬のセルジーンやギリアド・サイエンシズなどが関心を示していたといわれています。
高いか安いかは別として、それを買収するだけの魅力とシナジー効果があれば額は関係ないのです。
複数が買収に関心を示していたとなればメディベーションは魅力的な買い物なのです。
2015年ヒラリー・クリントンが、自分が大統領になったら高額なバイオ薬の薬価を見直すとツイッターで発言したことからバイオ銘柄の株価は下落しました。
アメリカの新大統領が決まるまでバイオ銘柄への投資は慎重にならざるをえないと思いますが、情報収集と銘柄を見極められれば美味しい果実を手にすることができるのです。
今回のファイザーによるメディベーションの買収でアメリカの製薬会社の企業再編は終わっていないことがわかります。
ファイザーはメディベーションの買収を第3四半期か第4・四半期中に完了させる予定です。
ナスダック・バイオテクノロジー指数(NBI)

ナスダック・バイオテクノロジー指数(NBI)の5年の株価推移です。
全体的に株価は停滞気味となっています。